バナー広告の指標と作り方は今のままでいいのか? デジタル広告の詐欺の実態とは? —追補

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Web担当者フォーラムに、「バナー広告の指標と作り方は今のままでいいのか? デジタル広告の詐欺の実態とは? 本間充氏が語った」という講演レポートを掲載していただいた。

シャツ姿の私

シャツ姿の私

この講演、「ノンヒューマントラフィック(NHT)について考えよう」という記事でも少し触れたが、悪質なBotによる広告詐欺の理解促進と、今後の対応がメイン・トピックスであった。

しかし、実はそれ以外にも、広告主が無視してきたことがいくつかあったので、そのことについても触れさせてもらった。

一つは、バナー広告と掲載記事との関連性である。今までの、テレビ・新聞・雑誌などの広告では、広告とその前後の記事・番組との関係性は議論にあまりならなかった。それは、これらのメディアの高億はPush型の広告で、かつその広告の接触直後にアクションが必要なかったからである。

一方、Webページのバナー広告は、WebページがPull型のメディアであるにも関わらず、バナー広告はPush型の方法を使っており、さらにバナー広告をクリックするという行動が要求される。この場合、記事とバナー広告の関連性が高ければ、バナー広告の認知はされやすいが、関係なければ、無視されることが多い。

簡単なテストをしよう。以下の動画で女性の歩数を数えてほしい。

そして、次に、このシーンには他に問題のあるシーンが含まれているが、それは認知しただろうか?

このVideo実際に、「バナー広告の指標と作り方は今のままでいいのか? デジタル広告の詐欺の実態とは? 本間充氏が語った」の会場でも見たのだが、多くの方が気づかない。いや、気づかないのが普通だろう。

人の頭脳はこのように、多くのことを一遍にできるわけではなく、何かに集中することが多い。

したがって、記事とバナーの関連性が高ければ、バナーの情報も処理されるが、関係ないと処理されない。

このように、広告主は本当にInternetで展開されている広告が、Internetのユーザーにとっても、広告主にとっても適切なのか再度議論する必要が出てきている。

物理の基本単位

物理の基本単位

そして、当日話があまりできなかったがもう一つは広告の価値指標である。クリック数、表示回数、次のアクションへの誘導数など、本当に広告主が有用な指標を決めるべきである。これは、広告主の事業によって、指標が異なるかもしれない。

広告主は、広告の利活用を行うのであれば、その成果・効果検証の責任があり、これらをメディア・パートナーに頼むことはできない。もう一度、Internet関連の広告の本質を考えて、健全な議論と検証が必要な時期に来ているのではないだろうか。

2015年9月1日の日経Big Dataのセミナーの内容完成。メディアの出稿金額とリーチの関係の数式も初公開!

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ようやく、東京も涼しくなってきましたね。そして、8月には当然セミナーなどの開催は少ないのですが、9月はセミナーやカンファレンスが目白押し。

そして、その最初が9/1 13:30~16:30開催の「データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」である。以前の、「マーケティングのデータ分析の次は、モデル作り、そしてコンピューターへの移植(自動化)だ!」に、マーケティングにおいて、統計・データ分析は武器であること。そして、その先に、モデル作りが必要なことを少しお話ししました。

大学の数学仲間と指導教官

大学の数学仲間と指導教官

私は、マーケティングの仕事を主としているが、大学・大学院の専攻は数学でした。皆さんは、数学と聞くと、アレルギーのある人もいるかもしれません。それは、確かに数学者に天才が多かったり、数式に面白さを感じないからかもしれません。

数式は科学の共通言語

数式は科学の共通言語

しかし、数式は科学の共通言語であり、科学のあるとことには、たいてい数字や数式が存在します。

マーケティングに科学の要素を持ち込もうとした場合、当然そこには何らかの数学があるはずです。実際に、今回一緒に「データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」のセミナーに登壇される、JALの渋谷直正さんに、「最新マーケティング・サイエンスの基礎 (KS社会科学専門書)」という本を薦められ、今読んでいますが、この本には、ばりばりベイズ理論など数式が出てきます。

実は、このようなマーケティングにおけるサイエンスを行う本は以前からも出されていたが、その多くが話題になっていない。理由は、マーケティングの実務者がサイエンスをあまり理解していないからであろう。

そこで、「データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」のセミナーでは、数学を知っているいる人を巻き込むことで、よりマーケティングが確かになることを説明したいと思う。そして、初めて大学以外で公開する、テレビの視聴者到達数と金額の式を公開したいと思う。そして、なんとその式で、雑誌・新聞、インターネットのバナー広告も説明できることを今回のセミナーで話したいと思う。これは、まさに誰でも使える式になっており、さらにこの式を使うとメディアMixの時の、メディア接触者数も計算できる。

私は数学のバックグランドがあるので、実際に数学をすることは好きである。ただ、皆さんにお勧めしたいのは、皆さんが数学者になることではなく、数学が得意な人と一緒に問題解決を行ってほしいということである。

「データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」のセミナーで、何かのヒントがあれば、良いのであるが。

Internetの活用は、コミュニケーションのみから、事業・サービスへ。ロフトワークのインタビューを振り返る。

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こんにちは。

キリン 上代晃久さんと私

キリン 上代晃久さんと私

昨日、「花王 本間充氏 × キリン 上代晃久氏 「これからの理想のWebマスターはこうあれ!組織やチームを超えて”ベストチーム”を作る」というコラムが、ロフトワークのサイトに公開され、反応も多くうれしい限りです。しかし、1時間のインタビュー記事では伝えきれなかった部分もあるので、勝手にここで延長戦をしようと思います。

みなさんは、以下のOral Bの歯ブラシ見たでしょうか?

歯ブラシにBlue Tooth つけたんですよ。これ、インタネットの担当者だったら簡単な技術で実装できることわかりますよね。ここで、問題になるのは、このようなアイディア、会社の中で誰が担当なのかということなんです。

各企業に、インターネット・プロダクト担当という事業部はまだないですよね。いや、かっこ良く言うと、IoT事業部です。

このような領域に詳しいのが、現在のWeb担当者ではないでしょうか?実際、20年前にWebを広告に、Brandingに使おうと思った時にも、社内説得をしながら進めたのではないでしょうか?

今は、ICT(Information and Communication Technology)から、インターネットを使った事業・サービスの時代に大きく変わり始めているのです。

このBlue Toothを使った歯ブラシ。成功しているかどうかよりも、このような「歯ブラシと携帯アプリ」、「歯ブラシのガイドと歯ブラシ実態のデータ取得」などの可能性を試して、確認することが重要なのです。

次の、このAmazon Echoもその代表作です。インターネットのインターフェースとして、キーボードでなく、音声認識装置にして、ECの注文の煩わしさを提言するのです。この技術も、特に難しい技術ではないでしょう。

最後に紹介したいのでは、携帯アプリと3次元プリンターを使ったイヤホンのNORMAL

2日間で、自分の耳にあったEarPhoneが作られるのです。これの応用例として、自分の歯に会った歯ブラシ、自分の体形にあった服とか、応用例はたくさんありますよね。まさに、Internetの技術で、モノづくりができる時代なのです。

重要なことは、このようなことについて、思いつく人が少ないことです。そして、思いついた人が、他の人に話さないと、話が始まりません。そして、思いついた人が、事業貢献を考えないと、前に進みません。

なので、「花王 本間充氏 × キリン 上代晃久氏 「これからの理想のWebマスターはこうあれ!組織やチームを超えて”ベストチーム”を作る」に書いたように、これから、ますます「組織やチームの連携」「社内理解・調整の難しさ」「部下の育成」が重要になります。そして、その中でも社内横断型の組織づくり、チーム連携が重要なのです。

もう、Internetの活用は、広告やBrandingだけではないのです。企業の事業そのものなのです。

そんな、夢と野望をみんなで考えて、前に進めてみませんか?

今だから、「ある広告人の告白」を、マーケッターのあなたに薦めたい。

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あなたは、「ある広告人の告白」という本を読んだことがあるだろうか?読んだことのない人は、私の以下の文章を読んで、読むかどうか決めて欲しい。

ここのある広告人とは誰であろうか。それは、デイヴィッド・オグルヴィである。

つまり、オグルヴィ・アンド・メイザーの創始者である。この巨大広告代理店を38歳で創った、いわば広告界の巨人である。「ある広告人」ではないではないか。いやでも話は、オグルヴィ・アンド・メイザーの始まりの頃のエピソードも多く、確かに広告代理店の創始者というよりは、一広告人からの視点である。

では、広告主のマーケッターが読まないといけない理由はどうしてかというと、「真のクリエィティブ・エージェンシーのDNAの理解」と「社会人のブランディング必要性」の2つの理由から、私はこの本を薦めたい。

「真のクリエィティブ・エージェンシーのDNAの理解」とは、何か。デイヴィッド・オグルヴィは、ブランドという言葉を確立させ、

We Sell, or else

という言葉を残した。つまり、実はクリエィティブ・エジェンシーとしては、売り上げに対して責任があることを明言していたのである。次のVideoを見ても、その意思は理解できるだろう。

ある広告主(広告人ではなく)は、クリエィティブ・エジェンシーのことを、広告作品を創るパートナーだと誤解しているかもしれない。時に、オリエンで現在の事業概況も、今後の目標も説明せずに、製品・サービスの強み、伝えたいことだけをオリエンすることがあるのは、そのような誤解からではないだろうか。

この本を読むと、事業の成功のために、デイヴィッド・オグルヴィに多くの広告主が仕事を頼んだことがわかる。つまり、広告作品を頼んでいるわけでもないし、デイヴィッド・オグルヴィも事業支援としてクリエィティブを行っている。もし、代理店との付き合い方に悩んでいたり、上手くいっていないのであれば、この本を読むと、今の時代でもヒントがあるのではないだろうか?

2つめの「社会人のブランディング必要性」とは。この本では、実はデイヴィッド・オグルヴィが仕事を断るエピソードも出てくる。さらに、「デイヴィッド・オグルヴィ」で画像検索すると似たトーンの写真を多く見つけることになるだろう。「ブランド」という言葉を作ったデイヴィッド・オグルヴィは、自分自身のブランドも確立したのだろう。これは、社会人として、本当に良い仕事に就きたいと思ったら、私たち自身も努力する必要があるひとつのテーマからも知れない。

さらに別な視点でもこのBrandingは重要だと思っている。私も、マーケティングや、ブランドの講座で話すのは、

他人のブランドのマーケティングやBrandingを考える前に、自分のマーケティングやBrandingを行ってみては?自分でもできないのに、他人のプロダクト、サービスをマーケティング、Brandingするのは難しいのでは?

と話したりする。デイヴィッド・オグルヴィは、自分のBrandingを行った。自分のBrandを確立していない、マーケッターはこの本を読んで、何か刺激を受けてほしい。

そして、なぜ今か?実は、広告=コミュニケーションの本質は、Digitalが強くなった今でも変わらない。そして、技術よりもコミュニケーションが重要なはずだ。技術はToolだからである。

そして、ここまでで、少しでもこの話に興味があり、まだこの本を読んでいない方には、再度この本を薦めたい。

本の詳細:
ある広告人の告白
デイヴィッド・オグルヴィ (著), 山内 あゆ子 (翻訳)

RampUp Asia に登壇します。

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皆さん、全国的には暑いですね。

私は、今週は札幌に帰って、涼しい夏を味わっています。とはいえ、少しだけ原稿を書いたり、学会に参加したりもしますが。

8月が終わり、9月になると、 ad tech Kansaiもあり、私も登壇します。そしてその翌日には、東京で、Ramp Up Asia 2015にもパネラーとして参加することになりました。

RampUp Asia RampUp Asia

このカンファレンス、LiveRamp Summitとあるように、データ分析、その活用を中心としたカンファレンスです。そして、ほぼ英語で、進行されます。

国際ビジネス言語である英語が日本で普及することで、このように海外の成功した会議が日本に来ることは、マーケッタにとっても嬉しいことです。Rampupとしては、アメリカ以外腕の開催は今回が初となります。

マーケッタの方は、社内に閉じ籠らずに、どんどん社外に出てこのように開催される国際的なレベルのカンファレンスなどに参加し、必要な知識を企業や自組織に展開すれば良いのではないでしょうか?

私は、ちなみに、このカンファレンスのThe Impact of Siloed Data on Marketing Strategiesに参加します。

Raumup Asiaの私の紹介写真 Raumup Asiaの私の紹介写真

他にも、MOATや、Weibo、そしてウォルマートからもスピーカーが登壇します。英語のカンファレンスは、このように海外の優秀なスピーカーと情報交換できることも大きいですね。

そして、データを活用したマーケティングを考えている方は、ぜひこのようなグローバルの会議に参加することを検討してみては如何でしょうか?

そうそう、少しだけリーク情報ですが、8/25のWeb広告研究会のセミナーもマーケティングの分析、オートメーション・ツール/ソフトの複数企業の発表になります。こちらも、詳細はサイトで近日公開しますので、ぜひ予定していおいてください。

YouTubeの3H戦略以外にも、Slow TVというジャンルもありかも。

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夏休みを頂いているので、HDD(Hard Disk Deck)に取りためしていた、NHKのSuper Presentationを見ている。その中の、Thomas Hellumさんの「The world’s most boring television and why it’s hilariously addictive」は、YouTubeなどの、ネット動画のコンテンツを考えている私にとっては、とても参考になった。

この話、ノルウェーのテレビで、時間軸に対して一切編集を行わない、Slow TVという新しドキュメンタリー番組の説明である。以下の動画を見ていただきたい。

いや、最後まで見ると7時間の番組であるので気をつけてほしい。ノルウェーの山岳鉄道の始発から、終点までの全行程を中継した番組である。

Thomas Hellumさんが、Ted Talkの中でも説明ているが、このSlow TVという番組の手法は、時間軸に対して全く編集がない。もちろん、さまざまなカメラー割りや、特殊な撮影を用いており、映像は綺麗である。が、飛ばしてみることは出来ず、逆にそれ故に臨場感や、参加感が出てくるのであろう。

さて、話をYouTubeに戻そう。YouTubeでは、BrandLabという動画に関するワークショップを開いている。この中で、広告主が、コンテンツを作るストラテジーとして、3Hという概念がある。Help,Hub & Heroである。(Helpを以前は、hygieneといった )このことは、オムニバスの山本社長との対談に上手に収めていただいたので、そちらを見ていただきたい。

このワークショップでも、実はYouTubeに最初に公開された、Me At the Zooという動画が話題になる。

この、2005/4/23に公開された19秒の動画は、実に多くの再生回数を誇る。そして、なぜこの動画が見られるのかの理由はよくわからない。

しかし、Thomas Hellumさんの「The world’s most boring television and why it’s hilariously addictive」のプレゼンを聞いたあとに、以外と共通項は「時間軸無編集番組」つまり「Slow TV」かもしれないと思った。

テレビでも実現している、「時間軸無編集番組」つまり「Slow TV」は、意外とネットの動画でもひとつのジャンルになるのではないだろうか。

事実、以下の小動物の映像などは、本当にずーっと見たくなるのである。Denne lurte nesten alle

マーケティングのデータ分析の次は、モデル作り、そしてコンピューターへの移植(自動化)だ!

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データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」という、2015年9月1日のセミナーに登壇します。このセミナー「日経ビッグデーター」編集長の杉本さんから、突然連絡があり、決まったセミナーである。

実は、今日の夕方このセミナーの打ち合わせを行うのであるが、なぜ、「マーケティング」「データ分析」「数学」が並ぶのかを少し説明したい。

マーケティングの領域で、Big Dataの話が出てから数年が経過しました。2011年に、鈴木 良介さんの「ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略」の本が出版され、早速購入して、マーケティングにBig Dataの波が来そうなことを感じました。そして、Web広告研究会でも、Big Dataに関する研究会が発足して、すぐにトーマス・H・ダベンポートさんらが書いた「分析力を武器とする企業」とそれらをまとめた、「分析力を駆使する企業 発展の五段階」を、皆で読んだものです。

この本の中の発展の5段階とは、

  1. 分析力に劣る。データ、スキル、経営陣の関与など分析の必須条件が一つ以上欠けている
  2. 限定的。統一が取れていない、戦略ターゲットが絞り込まれていない
  3. 組織的な強化に取り組む。プロジェクトは発足するがDELTAのいずれかの要素で躓く
  4. 分析力を備えている。それなりの成果をあげるが、競争優位には至っていない
  5. 分析力を武器にする企業になっている

である。現在の多くの企業では、「3」の状態ではないだろうか。ちなみに、ここのDELTAとは、

  • D: データ
  • E: エンタープライズ
  • L: リーダーシップ
  • T: ターゲット
  • A: アナリスト

である。ところで、データ分析の結果を企業の競争優位な状態や、武器にするにはどうしたらよいだろうか。それは、データ分析から、普遍的な何かの理解が必要である。たとえば、「支配因子」「反応度合」などである。それらを理解するのに、「数学的な記述」「関数の理解」が重要だと私は考えており、「マーケティング」「データ文政」「数学」が並ぶと考えている。

「もっと産業界で数学使おうよ。文部科学省 数学イノベーション委員会に参加して」の記事でも書いたように、現在の科学・産業の発展に数学は少なからず貢献してきましたし、今後も貢献するでしょう。それは、数学という学問は、「科学全体の基盤言語」の形式を保有しているからです。データ分析で見えてきたことを、数式で記述する。そうすると、それが未来に続くのが、今回だけことなのか、そんなことが見えてくるのです。

データ分析と数学を基にしたマーケティングの実践」のセミナーの中では、実際に私が東大大学院の数学の授業の中で取り組んだマーケティングの事象のモデル作りの話を中心に、数理モデルを作るとなぜビジネスにも良いのかをお話しさせていただきたいと思っています。

そして、参加される皆さんには、マーケティング部門に「統計」に詳しい人に加え、「数学」に詳しい人を採用することが、大きなメリットになることを感じていただければと思います。

そして、実は数学にマーケティングがなれば、その先は、コンピューターのプログラムとして、マーケティングの業務の一部が自動化されるのです。そんな、将来の話もぜひ。

本:「これからの広告」の教科書 を読んだ。広告担当者だけでなく、Brand Managerにも多くのヒントが。

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佐藤達郎 先生佐藤達郎先生の「これからの広告」の教科書を、さっそく読まさせていただきました。この本、「広告」と書いてあるので、広告の担当者がメインに思われるかもしれませんが、内容はコミュニケーション設計の話が中心で、ブランド・マネージャーにも参考になる本です。

あ、ブランド・マネージャーと広告担当者わかれていません?そうでしたね。大変失礼いたしました。

この本、非常に読みやすいスタイルになっていて、その読みやすいスタイルゆえに、コミュニケーション担当者の心がかなり痛みます。

「これからの広告」の教科書 「これからの広告」の教科書

それは、11のケーススタディーが、「Old Styleの広告会議」と「New Styleの広告会議」。「Old Styleの広告戦略」と「New Styleの広告戦略」の対比で解説されていることです。Old Styleは、今までのやり方で、見直すべき事柄で、New Styleが広告・コミュニケーションが変わった今取るべき方法です。が、私の日常の業務に重ねると、Old Styleでやっていることや、思い当たることが多く、心が痛くなるのです。まだ、多くのことをOld Styleでやっているなと…..

そして、ブランド・マネージャーにも参考になる理由は、この本の以下のような記述からもわかります。

有効なUSPを持たない商品が増えている。

これは、Brand Managerの責任では必ずしもありません。それだけ、科学技術が進化して、誰でも新しい技術を扱えるようになったということから来る課題です。マーケティングでは課題ですが、世界全体で考えれば、便利になったということです。

しかし、マーケッターはUSP(Unique Selling Proposition)が希薄な商品をマーケティングしないといけません。そこで、出てくるのがBrandの意思なのでしょう。Brandの意思は、他に真似されないものです。むしろ、真似をした時には、対峙している顧客の信頼を失うかもしれません。

この本の中でも、有名なDOVEの real Beauty Sketchの事例が出てきます。

この事例は、何度もその背景も含めて聞きましたが、USPではなく、Brand Storyであり、名詞のBrandではなく、動詞のBrandingを行っているコミュニケーションだと思います。

この本の中では、このようなBrandの意思を伝えるため考え方や必然について整理されています。

もう一つ、この本の中で私が初めて知った事例も、Brand Manegerなしにはできない、コミュニケーションです。それは、ルーマニアのチョコレート・バーROMの事例です。以下の動画が参考になります。

そう、コミュニケーションのために、パッケージを、ルーマニアの国旗からアメリカの国旗に変えるのです。これは、おそらくBrand Mangerの大きな判断がないとできません。この本では、

個別の表現よりも、「仕掛け全体」について、まず考える。

と、書かれています。しかし、「仕掛け」のためには、時には表現だけではなく、商品そのものも巻き込まないといけないわけです。

この本では、このように多くのケースから、「広告」の現在の考え方が整理されている本です。

そうそう、私が社内の会議でありそうな会話で気に入った記述は、以下です。広告のわかりやすさについて議論になる部分です。

さらに、この「わかりにくいものはダメ」で、「わかりやすいことが良い」とする判断基準をさらに進めて、「消費者は、少しでも頭を使わせたら、逃げていく」から、とにもかくにも「わかりやすくなければダメだ」と主張する広告主の担当者の方も少なくありません。
「池上彰さんを見てみなよ。あのわかりやすさ。池上さんの解説を聞きたくて読みたくて、視聴者が群がっているじゃないか」と、そういうわけです。
(中略)
池上さんの「わかりやすさ」の人気が高いのは、聞く人が「知りたくて聞きに来ている」という状況だからです。知りたいと思っていることがあり、それを「わかりやすく」解説してくれるからこそ、人気があるのです。
しかし、広告と解説は、大きく異なります。

そうなんです。広告と解説は違っていても、今ままでは、広告の商品の開設をしてきてしまっていたので、そこからなかなか抜け出せないのです。そんな共感をしつつ、この本では多くの広告についての整理ができ、自分のロジックも整理できる本でした。

本の詳細:

「これからの広告」の教科書
 2015/6/10
佐藤 達郎 (著)

新国立競技場問題は、「Big Data in Marketing」と本質的には同じかも

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最初に述べるが、私はマーケティングという仕事が好きだし、日本の経済成長のために、日本のマーケティングが進化することは、非常に大切だと思っている。

じゃー、なぜこんなマーケティングを行っている人を敵に回すようなことを書くのかというと、それなりに理由がある。

話は、Tokyo Olympic 2020の新国立競技場の騒動に移そう。

当初の新国立競技場のデザイン 当初の新国立競技場のデザイン

状況は皆さんご存知のように、実際に建設するコストが、当初予算を大幅に超えるので、安倍首相が英断(NHKの言葉では)して、プロジェクトを途中で止めたということである。私に言わせれば、これは上司の「ちゃぶ台返し」で、通常プロジェクト・マネージャーは更迭になるパターンなのだが。

この問題、民間企業のプロジェクトでいうと以下のような問題点が指摘できる。

  • プロジェクト・マネージャーが不明
  • チーム・メンバーの中での専門性(特に、建設・競技場)の欠如
  • プロジェクトの進捗管理がされていない
  • このプロジェクトのレポート先である、上司(首相)との意思疎通が良くない

このような感じで、まだまだ上げられるだろう。プロジェクト・マネージャーは、政治的な問題も多いのでここでは問題にしないする。簡単にきちんと出来たものとして、チーム・メンバーの最適化がある。チーム・メンバーは、純粋に今回のプロジェクトのタスクを書き出した段階で、どのようなスキルの人間が必要か、容易にわかるはずなのである。おそらく、スポーツ競技場の専門家、デザインと設計の関係がわかる専門家、建設会社との交渉に詳しい人などが必要だったのであろう。しかし、後から文部科学省に大きな建物の専門家がいないことが、判明する。

話を、マーケティング領域における、Big Dataのプロジェクトに戻そう。実は、多くの企業のマーケティング領域のBig Dataに関する業務の現在の進み方は、「新国立競技場」となんら変わりがないのである。

  • そもそも、Big Data Prj.にかけている予算が妥当か不明
  • 進行途中で予算が増加する可能性があるが、その予算は確保されていない(通常の情報システムのPrj.では、予備費がある)
  • メンバーに、ITやData Baseの専門家がいない
  • システム保守の契約が、同じ会社の情報システム部門のレートと異なる可能性が高い

など、実は新国立競技場問題と同じところが多いのではないだろうか。

今回の新国立競技場問題を、せっかくなので、私たちの反面教師として考えると、以下のような示唆があるのではないだろうか。

  • メンバーに社内の情報システム部門を入れて、予算設定時に運用コスト、バージョン・アップ費用も入れて、償却を考えた予算設定を行うこと(建てただけでなく、メンテもしやすい)
  • 誰のための、Big Data分析かを明確にし、そもそも、Big Data分析が、その企業のためになっている(会社にも愛され、お客さまにも愛される)ものになっていること
  • 他の企業と比べても、過大な予算投資になっていないこと
  • あまりにも特別なかっこ良い(生ガキが垂れたような)分析ツールを作らないこと

このようなことを、再度考えてみてはどうだろうか。実は、このBlogを書いている最大の理由は新国立競技場の問題が起きたからではない。最近、マーケティング部門中心に多くのツールの契約の話が増えてきたからである。そのこと自身は良い。でも、新国立競技場問題になっていないか、今一度チェックしてみては如何だろうか。

本:インテンション・エコノミーを読んだ。VRM(Vender relationship management)を理解した。

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遅ればせながら、インテンション・エコノミーという本を読破した。

インテンション・エコノミー インテンション・エコノミー

この本では、CRM(Customer Relationship Management)の先の、VRM(Vender relationship management)という新しい考えと、著者(Doc Searls, ドク・サールズ)が行ったプロジェクトについて書かれている。

今までの経済は、「注意(Attention)」が中心であり、「注意」引くために、広告でのAttentionやAwarenessを獲得してきた。これからは、「意思(Intention)」だとこの本では解説している。

確かに、最近では多くの決定権が購入決定者が持っている。つまり、注意を引くこと自身よりも、何を買いたいかを売り手が理解することが重要だ。

この「インテンション・エコノミー」では、Big Dataの分析によりCRMを最適化するこのではなく、全く別なアプローチがあるのではないかと提言している。それが、VRM(Vender relationship management)である。VRM(Vender relationship management)という言葉はB2Bの領域の言葉に感じるかもしれないが、実はB2C,B2Bに関係がない。

冒頭にこのような文章がある。

インテンション・エコノミーの本質は書いては売り手を探すことにあり、売り手が買い手を探す(そして、"囲い込む”)ことにはない。

このように、この本では売り手や買い手の定義もかなり広い。そして、確かに、現在日本のマーケティング領域で議論されている、Big Dataの活用は、今までのビジネスやロジックを変更せずに、精度を向上させるものが多いが、実はビジネスや、ロジックの変更も検討すべきなのであろう。

ここまで、買い手と売り手の発送を自由に変更した記述は、珍しい。だからこそ、今後のマーケティングを考えるためには大いに参考になる。

経済学的な用語でいえば、顧客から有効なシグナルを無視する売り手の企業コストは大きくなる。また、顧客の独立性と権限増加を活用できる売り手企業の機会利益は大きくなる。

もっと平易に書くと「顧客の反応やデータを有効に使えない企業は儲からなくなる。顧客を一人ずつ相手が出来て、顧客の望むことを実現しやすい企業は儲かる」ということだろうか。(かなり、極端に書いてみた)

この言葉が正しいとすると、企業と顧客の関係は、今までの企業と「集合としての消費者」ではなく「個としての消費者」になり、より多様なデータ分析が求められることになるのであろう。

ワクワクする本であり、非常に想像力を掻き立てられる本である一方、マーケティング部門と情報システム部門の融合は待ったなしであることも確信した。

詳細情報:
インテンション・エコノミー 顧客が支配する経済 (Harvard business school press) 単行本(ソフトカバー) – 2013/3/15
ドク・サールズ (著), 栗原 潔 (翻訳)