皆さんは、アメリカ・ニューヨークのマンハッタンを訪問したことがあるだろうか?
このマンハッタンを巡って、面白い会議が、1898年に開かれた。それは、ニューヨークで開催された、第1回国際都市開発会議である(参照:From Horse Power to Horsepower)。この会議で議論されたのは、建築でも土地利用でも、経済成長でもなく、「馬糞」の問題であった。
当時のマンハッタンでは、交通手段は馬車であった。栄えていた都市には多くの馬車が行きかう。その馬糞が議論の対象になったのである。事実、1894年のロンドンの新聞では、「1950年には、街のすべての通りが、約3メートルの馬糞で一杯になる」と書かれている。当時、都市の発展、人の移動、それに伴う馬糞の問題は、大きな都市問題だったのであろう。都市開発会議ではこの馬糞の問題を真剣に議論したのだ。
From Horse Power to Horsepower
ところが、この話と全く関係なく、エジソン照明会社(Edison Illuminating Company)の技術者である、ヘンリー・フォード(Henry Ford)が、発電用のエンジンを使って車の発明を行う。技術的は、エジソンの会社にある発電機を使って、車を作ったのであり、現代風に言えば、Mash Upである。
このように考えると、Fordは、まさにStartUpであり、後に成功した企業になる。そして、このFordの車がマンハッタンの馬糞問題を解決したのである。
少し整理しよう。都市計画の会議では、「現在のデータ」と「現状」から「現在の問題」を解決しようと知恵を絞った。そして、それと無関係に一人のエンジニアが、全く異なる方法で、「問題」を解決した。いや、きっと「現在の問題」に興味があったのではなく、Innovationに興味があり、結果「問題」を解決したということだろう。
私が、最近Startupの勉強をしている一つの理由がここにある。今は、まさにInnovationが生まれやすい時代である。また、このままでは解決できない問題も多く存在していそうでもある。たとえば、このBlogに、「まだInternetの活用などと言っている場合ではない。科学技術の進化そのものを理解しないと、ビジネスできない。」という記事を書いたのは、多くのInnovationが生まれやすい時代の一つの私なりの理解でもある。まだ、今年参加した、SxSWは、まさにInnovationから多くのStartupが生まれていることを説明している。
私たち、特に大企業にいる人は、実は「第1回国際都市計画会議」のようなことを行っていないだろうか。「現在のデータ」「現状」「現在の問題」の組み合わせを議論することは重要だが、時に視点を広げることも重要なのではないだろうか。私自身も、Startupについては、いろいろな機会を使って、勉強したり、直接話したりしている。→ad tech Internationalで、スタートアップのセッションに出てみよう。
FordのようなStartupを見つけ、一緒に問題解決すること。このようなことを、現在も行えるだろうし、行うべきなのであろう。
そのためには、まずStartupを理解すること。それが、まず必要なのではないだろうか。
「Startup再考。Fordも昔はStartupだった。マンハッタンから馬糞問題を救ったのは?」への1件のフィードバック