社内のData分析力強化。そして、Dataを眺めるときには、たくさんグラフを書くこと。

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ITPro Marketingでは、2016年4月から、ITProでは、2017年4月から連載している、「日本を復活させるB2Bマーケティング」ですが、今月は「社内のData分析力を強化するために、何を変えなくてはいけないのか」という記事を公開させて頂きました。( ITProは、公開予定です)

4月に、新年度を迎えると本当に、マーケティング部門のData分析強化のご相談を大変多く受けるのですが、この記事の中で説明して、トーマス・H・ダベンポートの著書が、古典になってしまったのか、意外と読まれていないのです。

この本で、企業の分析力の発展の5段階について、多くの企業の分析事例を整理して、説明しています。

この分析力を武器とする企業の中で、多く解説されているのは、統計力ではなく、ビジネスをどれだけ、Data分析というプロセスを定常・日常の業務にすることが必要か解説されています。

実は、私も外部でData Scientistを養成するいくつかのプログラムをお手伝いしています。東京大学の数学の授業は、統計・数理モデル創りのProの育成です。

また、ビジネス・サイドでは、宣伝会議の「データマーケター育成講座」を、開講から講師を行わせていただきました。この講義でも、統計やマーケティングにおけるData観察の話の期待値が大変高いのですが、実は一番重要なのは、その企業・組織で、どれだけDataを見て、客観的に論理が出来るかなのです。トーマス・H・ダベンポートは、分析力を武器とする企業の本の中で、企業の分析力を高める、「発展の5段階」があることを説明しています。そして、その次に出された「分析力を駆使する企業 発展の五段階」では、その5段階の状況に応じた、企業の分析力強化のヒントについて、解説しています。

この「分析力を武器とする企業」と「分析力を駆使する企業 発展の五段階」は、2008年と2011年の本ですが、非常に基本的なことが説明されており、これからマーケティング部門のData分析を強化されるのであれば、ぜひ必読の本だと思う。変えないといけないのは、企業の中の、考え方。身に着けないといけないのは、統計的・数理的なものの考え方、捉え方である。

その統計的・数理的な部分は、宣伝会議の「データマーケター育成講座」で、取り上げている。今回から、講師の方々が、その内容を大幅に変更して、Work Shopも増やしています。実務で使う統計手法は、5つ。すごい、そんなシンプル?で有名なJALの渋谷 直正さんを含め、講師も非常に充実しています。

私の講座では、とにかくグラフを書くことを行います。統計の前に、グラフにする。この単純な行為が、なかなかマーケティング部門のData分析者には出来ないようなのです。Dataを視覚化し、そして仮説を立てて、証明する。この流れが、企業の中で求められている、統計力・数理モデル作り力なのでしょう。この宣伝会議の「データマーケター育成講座」は、現在開講中ですが、おそらく次回もあると思いますので、興味のある方は、問い合わせてみてください。

3500GRPって、宣伝部で言っている本当の値は?

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なんか、今日公開した今さら聞けない、テレビ視聴率について、じっくり話を聞いた。そして、それをテレビでOn Airします。の記事への反応が多く、驚いています。
そして、大変驚いているのはGRPが、誤差つきだということをあまり認識ししてないということですね。ここは、東京大学の数学の先生としては、きちんと教育しなくてはということで、少し解説をしますね。

数学
まず、Gross Rating Point(GRP)のお話をしましょう。GRPというのは、ある期間に露出するコマーシャルなどの積算視聴率になります。

例えば、10GRPというのは、資料率3%のon airと7%のon airを行なうと、10GRPになります。そして、テレビ視聴率は、ビデオリサーチさまの関東の(個人)視聴率調査では、600サンプルでの統計データなので、誤差が下記のように判っています。

世帯視聴率 標本数600 標本数200
5%・95% ±1.8% ±3.1%
10%・90% 2.4 4.2
20%・80% 3.3 5.7
30%・70% 3.7 6.5
40%・60% 4.0 6.9
50% 4.1 7.1

こでは、視聴率10.0%と表示されているデータの真の値は、7.6%~12.4%ですよということです。

(出展:ビデオリサーチ様のサイトから)

では、3500GRPを獲得する以下の2ケースを考えましょう。ここでは、単純に、

  • 視聴率10%の広告枠を350回購入
  • 視聴率5%の広告枠を700回購入

の2種類の方法を考えましょう。

まずは、視聴率10%の方から、考えますね。この場合の数値の最小値は、7.6%、最大値は12.4%ですね。それぞれに、3500をかけると、最小値は2660GRPで、最大値は4340GRPとなります。かなりの幅があることがわかります。

では、次に視聴率5%の場合について考えましょう。この場合の最小値は上記の表から5-1.8=3.2%と、最大値は5+1.8=6.8%となります。そして、この広告枠を700回購入するので、それぞれに700をかけると、2240GRPと4760GRPとなります。

つまり、ここでお伝えしたかったのは、同じ3500GRPと、宣伝部が言っても、実際のアクチュアルのGRPは、買っている番組の視聴率の状況によって、誤差範囲が変わるということです。ここまで、理解してテレビの広告を活用していますよね。皆さん!!

明日からは、GRPの話がでたら、きちんとその誤差範囲も聞きましょう。

ちなみに、誤差を少なくするには、サンプルを増やせば良いのですが、そのために広告主の方は、視聴率のデータ購入金額を、2~3倍の費用を払いますか?その話も、今さら聞けない、テレビ視聴率について、じっくり話を聞いた。そして、それをテレビでOn Airしますのテレビ番組で話していますので、ぜひご覧ください。

 

「標準世帯」って。統計用語に標準をつけた矛盾。

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マーケティングのデジタル化の必要性を説明する時に、よく使うデータがある。「国民生活基礎調査の概況」で、調査されている、「所得金額階級別・世帯数相対度数分布」である。ちなみに、2013年の分布のグラフは、いかのようになる。

所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)

所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)

このデータは、全世帯のデータである。そして、このデータには、ある属性だけを切り出したデータがある、例えば、以下のようなグラフである。

WS000005

ところで、この「標準世帯」って、どんな世帯だと思いますか?

  1. 夫婦共働き、子供2人
  2. 夫婦共働き、子供一人、夫婦の親一人
  3. 夫、専業主婦、子供2人

もちろん、正解は3です。

標準世帯……夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち,有業者が世帯主1人だけの世帯に限定したものである。この世帯概念は昭和44年から46年までの「標準世帯」及び47年以降の「4人世帯(有業人員1人)」と同じである。なお,昭和43年まで,「4人世帯(有業人員1人)」の結果表を掲載していたが,44年からのものは上記のように範囲を狭めている。

と、総務省統計局のサイトに定義が書かれている。

問題は、このような定義に「標準」という言葉を使ったことだろう、時代とともに「世帯」の状況は変わる。「1億総活躍」、「女性活躍推進法」と、この「標準世帯」は矛盾があるし、また出生率も変わる。

統計・分析を行うときに、ある属性やグループに名前をつけることはよくある。そのような時に、この教訓を思い出しながら行なおうと思う。