もう、デジタル・マーケッターという肩書きを捨てよう!

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おはようございます。平昌オリンピック終わりましたね。そして、このオリンピック期間中に、やはりテレビやラジオのメディアの偉大さを感じたのです。このオリンピック期間中、試合をYouTubeで見た方はどの程度いたでしょうか?私の場合、男子フィギュアーのフリーは電車の中で移動中は、NHKのらじるらじるで聞き、移動が終わったらスマートフォンのテレビアプリで、ライブ中継を見ました。女子のフィギュアーのフリーは、打ち合わせの直前だったので、六本木のミッドタウンの8Kのライブ中継を見ていました。

インターネットの専門チャネルでは、残念ながら日本でオリンピックの放映権を支払えるほど体力のあるメディアがなかったり、または放送局グループに入れないなど問題があるのでしょうね。

そして、そんな中、電通から「日本の広告費」が発表されましたね。私も、Yahoo!Newsに記事を2本書きました。

 

特に今回書きたかったのは、電通発表の「日本の広告費」 媒体別広告予算に意味があるのか?にあるように、デジタル・メディアだけの活用ではなく、他のメディアとデジタル・メディアの組み合わせのコミュニケーションの重要性です。

実は、インターネット空間は、空間であり、メディアでもあり、コミュニケーション空間でもあるのです。そして、メディアとしては、拡散力は広くなく、ターゲティング能力が高いものです。コミュニケーション空間としては、早く、安価です。この特徴や弱点を、上手に他のメディアと組み合わせて、広告やコミュニケーションを行うことが重要なのです。

今までは、企業にデジタル・マーケッターが必要だとされていました。それは、デジタルが「何もの」なのかを理解するのには、とても重要だったのです。しかし、デジタルの特徴を理解した今は、メディアを統合的に使える人が重要なのでしょう。つまり、「デジタル・マーケッター」がクールな時代はおわり、真の「メディア・プランナー」が「かっこいい」時代になったのでしょう。

このことを考えれば、電通発表の「日本の広告費」 媒体別広告予算に意味があるのか?に書いたように、経済成長依存の広告業界を脱し、継続的に成長する「広告業界」になるのではないでしょうか。

最後に、これらの議論を、ぜひ企業で進めていただきたいので、昨年同様に、「日本の広告費」のデータを数値化したファイルを公開しますので、ご自由にご活用ください。(このようなデータが重要なニュースリリースの場合は、データの活用のしやすさも考慮してもらえると良いですよね。)

日本の広告費2016年のDataをDown Load可能な形式にしました。が、インターネット広告費の20%が、もし詐欺にあっていたら…

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毎年2月に株式会社電通から発表される、日本の広告費ですが、2016年のDataが、2月23日発表されました。

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日本の広告費2016

社内のプレゼンなどに使いたい方も多いと思うので、いつものようにDataをGoogle Driveにて公開しましたので、ご利用ください。(もちろん上記グラフを使っていただいても良いです)

この日本の広告費2016のDataでは、インターネットの広告費媒体費込みで、1.3兆円となりました。これは、4マスメディアとSP、インターネットという、上記のグラフの区分では、初めてインターネット広告費の構成比率が20%を超えました。そして、他のメディアの増加率よりも圧倒的に増加率が高くなっています。このことは、広告費においてもデジタル・シフトが加速されていると言えると思います。そのこと自身は、非常に良い傾向だと思います。

一方、今回、この1.3兆円のインターネット広告費が、適切なのかという問題も同時に考えましょう。適切というのは、この広告費が適切に、適切な相手に支払われているかということを、広告主が確認しているのかという問題です。

あまり日本では、報道されていませんが、みなさんは米国で、以下のような報道があったのをご存知でしょうか?Mercedes-Benz, Honda among companies with ads on jihadist websites YouTubeの広告プログラムにおいて、ISISの動画に、自社の広告が掲載されてしまったということが、報道されているのです。

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The Sunの報道による事例:A Mercedes advertisement appears on an ISIS YouTube propaganda video

YouTubeは、日本からも使える媒体であり、このようなことに日本の広告主が巻き込まれる可能性があります。そして、巻き込まれたら、日本企業の宣伝部はどのように返事をするか、議論しているでしょうか。明日、あなたの会社にも起きる事例なのです。

おそらく、多くの宣伝部では、トラディショナル・メディアの出稿に関しては、上記のような議論を行っていました。しかし、インターネットの広告に関しては、よくわからないという理由で、メディア選定や、メディアに広告出稿後の確認・監査を怠ってきたのではないでしょうか?今回のこのYouTubeの事例で、広告出稿した企業がダメージを受けているかは不明です。しかし、この報道された後に、似たようなミスをした企業は、今まで以上に大きな批判を浴びることになるかもしれません。

今回は、ISISというテロ組織の問題ですが、実は普段から広告がアダルトサイトや、ギャンブルのサイトに表示されていることはすでに起きています。このようなサイトに広告が配信されることにより、良いBrand Imageが気づけるのかは、きちんと議論しておかないといけないでしょう。

そして、もう一つは、Ad Fraud(広告詐欺)です。この件は、「広告取引の透明性は、広告主の意思が必要。そして、広告をより良いものにすることが、」という記事でも書きましたが、アメリカにおいては、動画広告の23%が、クリックや配信詐欺などにあっているというレポートがあります。23%ですよ。皆さんが、クリック率を1%あげるのに必死になっているのに、その前に23%を無駄にしているのです。仮に、インターネットの広告費20%が詐欺にあっているとすると、2,600億円もの広告費を無駄にしています。そのお金は当然なくなるのではなく、不正な企業の収入や、良くない組織にお金を支出していることになります。豊洲市場の土地取得費用の1,859億円よりもはるかに多い金額です。しかも、この無駄は1年だけでなく、毎年継続的に2,500億円程度の費用を無駄にし、良くない集団に支出しているかもしれません。このことは企業運営的にも、社会倫理的にも許されることではないでしょう。多くの企業では、反社会的な組織と取引しないと宣言しているのですが、これが怪しくなる可能性があります。

日本の広告費が発表された今、広告主はこの日本の広告費2016のDataに一喜一憂するのではなく、その最終支払いまで、どのようにチェックするのか。またどのようにインターネットの広告を運用することが、社会から信頼されるのかを考えるきっかけにしませんか。

広告の監査をする方法は、MoatComscoreなどから、出ています。方法もあります。あとは、やるかやらないかなのです。

2015媒体別広告費。前年比のデータでは。Internetは、+10%.新聞は、-6%

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2015年の日本の広告費のデータ分析#1です。まずは、前年比のデータを作ってみました。

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まず、全体にいえることは、2015年の伸びは、2014年に比べて低くなっています。マーケティングの効率がよくなったのか、経済成長が良くないのかの因子分解は出来ていませんが、全媒体共通で予算の伸びが減っています。

そして、さらに良くないのは、インターネット広告費以外、すべてマイナス成長です。つまり、2015年、インターネットの広告がなければ、マーケティング、広告業界は悲惨な状況だったかもしれません。

媒体別で見ると、一番上の赤い線が、インターネット広告で、最下層が新聞の広告費の対前年比です。

インターネットの広告費の前年比のデータは、8.08%→ 12.13%→ 10.22%となり、2015年も10%成長です。一方新聞の広告費は-1.15%→ -1.83%→ -6.24%と、2015年は6%以上のダウンになっています。