あなたは、「ある広告人の告白」という本を読んだことがあるだろうか?読んだことのない人は、私の以下の文章を読んで、読むかどうか決めて欲しい。
ここのある広告人とは誰であろうか。それは、デイヴィッド・オグルヴィである。
つまり、オグルヴィ・アンド・メイザーの創始者である。この巨大広告代理店を38歳で創った、いわば広告界の巨人である。「ある広告人」ではないではないか。いやでも話は、オグルヴィ・アンド・メイザーの始まりの頃のエピソードも多く、確かに広告代理店の創始者というよりは、一広告人からの視点である。
では、広告主のマーケッターが読まないといけない理由はどうしてかというと、「真のクリエィティブ・エージェンシーのDNAの理解」と「社会人のブランディング必要性」の2つの理由から、私はこの本を薦めたい。
「真のクリエィティブ・エージェンシーのDNAの理解」とは、何か。デイヴィッド・オグルヴィは、ブランドという言葉を確立させ、
We Sell, or else
という言葉を残した。つまり、実はクリエィティブ・エジェンシーとしては、売り上げに対して責任があることを明言していたのである。次のVideoを見ても、その意思は理解できるだろう。
ある広告主(広告人ではなく)は、クリエィティブ・エジェンシーのことを、広告作品を創るパートナーだと誤解しているかもしれない。時に、オリエンで現在の事業概況も、今後の目標も説明せずに、製品・サービスの強み、伝えたいことだけをオリエンすることがあるのは、そのような誤解からではないだろうか。
この本を読むと、事業の成功のために、デイヴィッド・オグルヴィに多くの広告主が仕事を頼んだことがわかる。つまり、広告作品を頼んでいるわけでもないし、デイヴィッド・オグルヴィも事業支援としてクリエィティブを行っている。もし、代理店との付き合い方に悩んでいたり、上手くいっていないのであれば、この本を読むと、今の時代でもヒントがあるのではないだろうか?
2つめの「社会人のブランディング必要性」とは。この本では、実はデイヴィッド・オグルヴィが仕事を断るエピソードも出てくる。さらに、「デイヴィッド・オグルヴィ」で画像検索すると似たトーンの写真を多く見つけることになるだろう。「ブランド」という言葉を作ったデイヴィッド・オグルヴィは、自分自身のブランドも確立したのだろう。これは、社会人として、本当に良い仕事に就きたいと思ったら、私たち自身も努力する必要があるひとつのテーマからも知れない。
さらに別な視点でもこのBrandingは重要だと思っている。私も、マーケティングや、ブランドの講座で話すのは、
他人のブランドのマーケティングやBrandingを考える前に、自分のマーケティングやBrandingを行ってみては?自分でもできないのに、他人のプロダクト、サービスをマーケティング、Brandingするのは難しいのでは?
と話したりする。デイヴィッド・オグルヴィは、自分のBrandingを行った。自分のBrandを確立していない、マーケッターはこの本を読んで、何か刺激を受けてほしい。
そして、なぜ今か?実は、広告=コミュニケーションの本質は、Digitalが強くなった今でも変わらない。そして、技術よりもコミュニケーションが重要なはずだ。技術はToolだからである。
そして、ここまでで、少しでもこの話に興味があり、まだこの本を読んでいない方には、再度この本を薦めたい。