7月7日(あ、七夕でしたね)に、Yahoo! Newsに、「<テレビ離れ>傾向強まる…短時間視聴が増加 NHK放文研」という、毎日新聞の記事が流れて、マーケティング関係者がにわかに、ざわついた。
この記事は、広告・宣伝担当者や、テレビで業を行っている人には、確かにインパクトがあるようにタイトルが付けられている。しかし、私はこの記事の伝播方法に、以下の2つの点で、別な議論をしたい。
「テレビ離れ」という言葉は、テレビを中心とした言葉では?
そうなんです。この言葉、メディアが中心の言葉なんですよね。視聴者は、テレビから離れたのではなく、見たいコンテンツがないわけで。そして、テレビが見たいのではなく、番組を見たいわけで。
同研究所世論調査部の中野佐知子副部長はインターネット環境の向上やデジタル端末の普及を踏まえ、「メディア環境の変化によって、わずか5年の間に、テレビの見方に大きな影響が出始めている。テレビ離れの兆候は若い世代だけでなく、少し上の世代にも出てきている」と話した。
と引用されているが、5年の間に起きたのは、メディア環境以外にもあるのではないだろうか?多様性、ライフステージの変化など、視聴者というか、生活者の変化もあるだろう。
そして、この調査は、住民基本台帳をもとに行われているというが、外国住民も含まれているのであろうか。外国住民は2012年から、住民基本台帳に加えられているため、5年前との比較をおこなうのであれば、この点も調査設計の問題になっている。
そして、もう一つは、テレビ映像をテレビで見なくてはいけないと誰が、視聴者とコンセンサスを取ったのだろうか?例えば、アメリカではケーブル・テレビに加入していれば、番組をセットトップボックスを使ってテレビで見ることも、インターネットを使ってタブレットや携帯で見ることが可能である。そして、日本のように中継の後に、見逃した方はOn Demandではなく、テレビの中継の時から、どのデバイスで見るかは、視聴者(契約者)の選択可能になっている。
従って、このまとめ、そろそろ「テレビという機器」ではなく「テレビに流すコンテンツ」を主にアンケートしないといけないのではないかと思うのである。
マーケッタ、広告部長・宣伝部長は元のデータを見るべし
このニュースの後に、NHK放送文化研究所・世論調査部の発表資料をどの程度の方が見ただろうか。見ていない人はぜひ、次のリンクから見てほしい。「日本人とテレビ 2015」調査 結果の概要についてこのような調査結果を概要や平均でとらえることは非常に危ない。なぜなら、日本にも多様性があり、たとえば年齢別にみるともっと驚く状態になっているからである。
実は、「日本人とテレビ 2015」調査 結果の概要についての5の項目に、
「テレビよりインターネットの動画のほうが面白い」と思うことがある人は20代以下で半数超に
という項目があるし、さらに最後の方には、
1番目に欠かせないメディアを年層別にみると、16~19歳はテレビとインターネットの割合が同程度と多く、40代以上はテレビが最も多い。この5年で20~50代でインターネットが増加、20、30代ではインターネットがテレビを上回った。
というデータもあるのである。つまり、20代以下の商品の告知でテレビを使うことは、もはや問題かもしれないのである。
このような調査が出たときに、ニュース・リリースや報道では当然一部を切り出し、一部を強調する。しかし、ビジネス判断を行う、マーケッターや、広報部長や宣伝部長はもっと詳細にデータを見るべきだ。それが、Big Dataに取り掛かる前に行うべき、基本の基ではないだろうか。